1匹の痩せっぽちの野良猫との出会い


動物(犬、猫、ウサギ、モルモット、インコ、亀、ニワトリ)に囲まれて育ちましたが、
小さい頃に飼い猫を触ろうとして咬まれました。
以来、猫が苦手… この年になるまでずっとダメ。

犬との散歩道で猫に遭遇した時、猫は逃げるどころか
大型犬連れている私を見てもビクともせず、反対に背中を丸め、
背中から尻尾まで膨らませてこちらを威嚇。
猫はわがまま、猫は執念深い、裏切りモノ。
私の猫への恐怖はかなり膨らんで、大型犬2匹を離してハンティングさせたことがある。

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2003年の夏に、うちの山に一匹の猫が現れた。

この世に大勢人間と猫がいる中で、出会ったお互いならばそれも運命かと。
これを 『運命』 といわずに何と言うのでしょう?
出逢うべくして出逢った一人と一匹。

『どうした?ん?どうしたの?』
気付くと私は、一匹の野良猫に話しかけていました。
その子は弱っていて、歩くだけで精一杯!
ネズミでも探していたのでしょうか?
話かけられても、振り向きもせず、細い山道をフラフラ、ひたすら歩くのでした。

近くに民家のないうちの山。
物置として使われている小屋が一軒。


おそらく誰かの飼い猫ではなく、野良猫です。
気になって気になって、同じ時間帯に毎日山へ行くことが習慣になりました。
弱った体でも警戒心が強く、
私の前に現れてはものすごい勢いで逃げていきます。
『そんなに怖がらなくてもいいのに…』

私を退けるように走り去っていくその姿に、
まったく信用されていないようで、ほんの少しさみしい気分になる。
その後も何度か餌と水を持って、決まった場所に置き、
その猫はいつも私の横をすり抜けては、どこかへ行ってしまいます。
その寂しさにちょうど慣れ始めた頃、ある変化が訪れました。

『どうしたの?』

その日はいつもと違っていました。いつものように一目散に逃げようとはせず、
ただ黙って私のほうを見ていました。
『大丈夫だよ、こわくないから』

まさに猫なで声で手を差しのべると、その動きに瞬時に反応して、
私の横をすっと通り抜けて逃げてしまいました。
『やっぱりダメか...』

そのときの後姿に、またちょっとだけせつない気持ちが生まれていました。

それから数日後、また同じような状況になりました。
私はさらなる猫なで声で、手を差しのべました。
野良猫ちゃんは逃げようとせずにまたじっと私を見ています。

ほんの少し近づこうとした瞬間、またものすごい勢いで走り去ってしまいました。

いつのまにか私の中で、その子との距離を縮めたいという思いが芽生えていました。
あまりにも小さかったので 『ちび』 の “ちぃー” と名づけました。

夏が過ぎ、秋が終わり、冬の気配を感じ始めたごろに
ちぃーを抱っこすることが出来ました。

冬… 冬をどう乗りこえるのだろう?
山に雪が2m以上も積もるというのに…
でもだからって、今まで自由に過ごして、山は自分の家だと思っているちぃーを
我が家につれて帰ることができませんでした。

『私なに。。。しているの?私(たち)は犬派。猫嫌いよ。忘れてるの?』

厳しい銀世界の寒さを凌げるように小屋の窓の隙間を開けて、
フードを一袋置き、里へと帰りました。

『あの子なら大丈夫。生き延びる。きっと…』


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年が明け、雪が溶け始める3月に
自分の目を疑った。

我が家の裏の庭に一匹の茶トラがちょこんと座っていました。
自分はバカだと思いながら 『ちぃー?』 と声をかけてみました。

尻尾をピンと立てて、可愛い声で鳴きながらわたしの方へ向かって走ってくる姿
未だに目に焼きついています。

ちぃーは再びわたしの人生に現れたのでした。
これはやっぱり運命

『ちぃー キミのこと、二度と離さないよ。これからはずっと一緒!』

心の準備なんて… できなかった。
ある日突然の激しい嘔吐。
なぜ?1時間前まで、ピンピン元気に過ごして遊んでいたのに、なぜなの?
吐くものがなくなるまで吐いて、
最後は泡しかでなくなった。

『どうして?どうしてなの?教えてよ… どうしてなのか教えてよ!』

必死で立とうとするちぃーの姿を見ては
何度 泣いた事か。

初めての猫。
全てが初めて。どうしたらいいの?今日は日曜日。

意識朦朧のちぃーをキャリーに入れて病院へと駆け込んだ。

よく 『発症せずに寿命を全うする猫もいる』 という言い回しを聞きますが 結局 『個体差』 とか 『運』 とかってことになるのかなぁ。 猫の飼育環境は飼い主次第でどうにでもなるけれど、
体に良さげなフードをあげてお外に出さず育てても、病気になる時はなってしまう。

友人宅に、20歳になろうかというご長寿猫様。 こういう猫もいるのですね。ちぃーちゃんとは大違い。

病院の診察台の上で ちぃーが亡くなるまで そして亡くなってからも ずっとあの仔を抱っこしていた。 そうしないと私から飛び立っていきそうで… そうしないと全てが消えてしまいそうで…
何時間も抱っこしていた。

ちぃーちゃん…
苦しみが終わってしまったね。
…全てがおわってしまった。

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ちぃーをFIV、FeLというダブル感染病で亡くしてしまった。 出逢ってから一緒に暮らすまで8ヶ月。

闘病の末 食べることも 立つことも 鳴くこともできなくなって 2004年3月23日 ちぃーは意識が朦朧する中 診察中に目を開けて、わたしを見て、声にならなかった 『みゃ〜』 と残し、息を引き取った。

我が家にちぃーをつれて帰って 家族みんな 声を出して泣きました。 私はもう立ち直れないかも知れないと思った。

この8ヶ月間 私たちはちぃーちゃんに
精一杯の愛情を注いできたし ちぃーちゃんも私たちに 楽しかったたくさんの思い出を残してくれました。

大事なのは 死を覚悟する事でも、心の準備をする事でもない・・・ 今 この時を 出来る限りの愛情でしっかりと包んであげること。 今 やっとそう思えるようになりました。

私たち幸せだったけど ちぃーもきっと幸せだったよね。

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愛するちぃーへ ちぃーちゃん、あなたと過ごした8ヶ月間 本当に幸せな時間でした 突然私たちの人生に現れて いっぱいいっぱいあなたを愛し もっと ずっとずっと一緒に居たかった… あなたはお星様になってしまったけど 今でもお母さんの心の中で生き続けています あなたが残してくれた思い出 あなたを抱いたぬくもり 誰も奪うことができない 全部お母さんの宝物。 もう二度とあなたを抱っこ出来ない事が お母さんは一番寂しい ねぇちぃーちゃん 今度生まれてきたら またお母さんのところに来てね 待ってるから… 約束よ… ちぃーちゃん… 時間が経つと哀しみも癒えるかなと思っていたけど、どうも私はダメみたいです。
ちぃーちゃんのことを考えただけで無条件で涙が出ます。





慢性腎不全のため
2004年03月23日午前10時32分
2歳で永眠



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